中尾勇太のブログ

ようこそ!

トルコのシリア侵攻について

 

 

トルコがシリアへ侵攻を開始しました。

トルコ軍は9日夜、シリア北部で地上作戦を開始した。この日空爆や砲撃で始まったクルド人勢力に対する軍事作戦を本格化させた形。
引用:トルコ軍、シリア北部で地上戦開始=攻撃で15人死亡:時事ドットコム


今回のことをきっかけに色々と調べてみて、個人的に感じたことを書き連ねていきます。

 

 

 

 

 

クルド人勢力と米国との関係

 ・ISの排除(米国、クルド人勢力共通の目的)
・兵器、資金、人員を米国から提供
・関係は片務的で浅い?

 

 

IS 掃討の注力する米国は、クルド人部隊を指揮指導して、軍事拠点を設け葺支援もしている。
引用:日本人の知らない、イラク、シリアにおける IS 勢力の終焉とクルドの春、日本のテロ対策

東側は、米国の武器支援と軍事訓練及びオペレーションを行なっている。しかし、前線はペシュメルガ=ペシュメルゲとも呼ぶクルド人部隊が戦闘を行う。
引用:日本人の知らない、イラク、シリアにおける IS 勢力の終焉とクルドの春、日本のテロ対策

*東側とはユーフラテス川の東側
*2017.09.25の記事

 


確かにクルド人勢力はISとの戦闘で多くの犠牲者が出ましたが、IS打倒はクルド人勢力の目的でもあります。

クルド人勢力は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の「カリフ制国家」を打倒する戦いで1万1000人を失いながら中心的役割を担い、米国とは同盟関係にあった。
引用:シリア北部で7万人が避難 クルド人勢力、トルコに反撃 写真19枚 国際ニュース:AFPBB News

 


米国は多くの支援をしています。むしろクルド人勢力に貸しがあると考えていてもおかしくはありません。
クルド人勢力との共通の目的のために力を貸したとも見れますから。

 

シリア国内のIS打倒のためにどこかと協力しようと思っても、シリア国内だとアサド政権とは仲が悪い+ロシアが後ろ盾なので難しい。
なので、クルド人勢力と組んだのでしょうか。ただ、後述しますが、この選択も良くなかったのではないかと思われます。

 

 

 

 

トルコ

・昔、日本はお世話になった
EU加盟模索
憲法改正
NATO加盟国
・米国に忠告されながらもロシアと(兵器購入等々)協力

 

日本とトルコで有名な話はこれですね。
参考:[Sponsored] 日本とトルコ 125年の友情 - 毎日新聞

 

そして、トルコはEU加盟を模索していますが、なかなかうまくいかず。
参考:トルコのEU加盟問題 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス


それもそのはず。
憲法改正で自らに権力を集中させたり、ジャーナリストを弾圧するようなことをしたら、欧州は反発するでしょう。
参考:「トルコ 憲法改正の意味」(視点・論点) | 視点・論点 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室

参考:トルコ、エルドアン氏に権限集中 大統領制に完全移行 (写真=ロイター) :日本経済新聞

参考:トルコ、メディア130社閉鎖 弾圧に拍車 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 


そして、NATO加盟国でありながら、米国からの警告を無視してロシアと接近。

国防総省は7日、トルコがロシア製地対空ミサイルシステムS400を調達すれば、最新鋭ステルス戦闘機F35の多国間共同開発プログラムへの参加を凍結し、トルコ人パイロットらの訓練も中止すると明らかにした。
引用:F35参加凍結を警告=米長官代行、トルコに書簡:時事ドットコム

 


米政府は17日、トルコがロシア製ミサイルシステム「S400」を購入したことを受け、最新鋭ステルス戦闘機F35共同開発計画からトルコが排除されることを認めた。
引用:米、トルコをF35計画から締め出し ロ製ミサイル購入受け 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

 

トルコ空軍の戦力もやはりNATO有数で、アメリカ製の最新鋭戦闘機F-35Aの導入を進めていましたが、同国陸軍がロシア製のS-400地対空ミサイルを導入したことで、アメリカはF-35Aの引き渡しを凍結、パイロットの訓練もストップしています。
引用:シリア侵攻のトルコ軍、その概要 陸軍規模は世界屈指、周辺国との関係は…? | 乗りものニュース

 

こちらも後述しますが、トルコが米国と対立するような動きをするのも理解できるのですよね。

 

 

 

 


米国の立場

クルド人勢力よりもトルコ優先
・トルコは国なので、クルド人勢力よりも力があり、外交もしっかりしている(機関、仕組みがある)
・トルコのロシア傾倒回避


トルコの影響力は大きいようです。なので、米国はトルコと協力関係を維持したい。
その場合、トルコとクルド人勢力なら、トルコを優先させる。
ただし、度が過ぎればトルコを止める。(こちらも後述)

 

トルコの影響力については次の項目にて。

 

 

 

 


トルコの目的

・シリア難民(トルコ国内のクルド人勢力含む?)帰還用の地域(非武装地帯、安全地帯)の確保
・トルコは必要以上にシリアに侵攻はしないのではないか。シリア国内のクルド人地域の全排除はしないのではないか

 

 

トルコは、この安全地帯からYPGの戦闘員を完全に排除したい考え。また、シリア内戦などでトルコ領内に避難してきたシリア難民360万人のうち、最大200万人をこの安全地帯に移住させたいとしている。
引用:シリア北東部から撤退表明のトランプ氏、トルコをけん制 経済を「破壊する」と - BBCニュース

これが今回のトルコの目的とされています。

 

もしトルコが安全地帯の設置のみで侵攻を止め、必要以上に侵攻しないとするならば、アサド政権やロシアもトルコの動きを静観するのではないでしょうか。
トルコ侵攻による安全地帯の設置は、トルコと対立するのに比べてそこまで混乱や悪影響はないと考えているのかもしれません。

 

トルコと対立すれば→ヨーロッパへの難民。ロシアへの傾倒。中東への影響力、混乱。といった問題が起きそうです。
参考:CNN.co.jp : 「占領と呼ぶなら難民送り込む」、トルコ大統領がEUに警告 シリア攻撃

 


トルコの影響力についてですが、陸軍の戦力はNATO加盟国で米国に次ぐ2位の大きさですし、国は欧州と中東の間に位置しています。

トルコ軍は、陸海空の3軍と、国家憲兵隊、沿岸警備隊の5軍種からなります。歴史的に陸軍中心で、戦力的にも陸軍が一番大きな比重を占めており、その戦力はNATO最大のアメリカ陸軍に次いで第2位の規模で、冷戦終結後に縮小したドイツやフランスを上回ります。
引用:シリア侵攻のトルコ軍、その概要 陸軍規模は世界屈指、周辺国との関係は…? | 乗りものニュース

 


トルコにNATO抜けるとか言われたら欧米諸国は困ります。ロシア側に付かれても困ります。
もしそうなったら、米国や欧州はトルコが抜けた分の軍事力などをさらに備えないといけなくなります。
そりゃトルコも強気になりますね。というかトルコは怒っているのだと思います。(これも後述)

 

難民をシリアに移住させた場合、難民を世話するのはクルド人勢力でしょうか?それともアサド政権でしょうか?
もしアサド政権ならアサド政権への負担。これは米国には好都合……?

 

 

 

 

 

 

他同盟国

・日本も片務的だが、資金は出している
・過去のトランプ発言、報道。日本の米軍駐留経費負担多い
・今回のことはNATO向けの牽制にも?

 

 

多くの政治家や政府の元高官は、トランプ政権のシリア撤退という決断が同盟国や未来のパートナーに送ったメッセージに懸念を示している
引用:「同盟は簡単」「第二次世界大戦で我々を助けなかった」トランプ大統領、クルド勢力を見捨てたとの批判に反論 | BUSINESS INSIDER JAPAN


今回の事態を受けて「他の同盟国も米国から見放されるのではないか、と思われるのではないか」と報じられています。

 

日本も米軍に守ってもらっていますが、クルド人勢力とは違い、日本側が資金を提供しています。
参考:安倍首相、米軍駐留費負担「全く変える考えない」 - 産経ニュース

参考:在日米軍駐留経費、日本負担は86% 防衛省試算 :日本経済新聞

地域の安定という「共通の目的のため」という点はクルド人勢力と同じですね。
ただ、日本は資金を提供し、クルド人勢力は人員を提供した、とも見れます。

 


以前にトランプ大統領の発言を受けて、「米軍の日本での駐留経費の負担増額を、米国が日本に強いる」といった報道や識者の方の意見もありましたが、今のところないですね。
日本の負担はすでに他国と比べて大きいらしいので、さもありなん、という感じです。

国防総省が公表した「共同防衛に関する同盟国の貢献度報告」(2004年版=これでも最新版)によると、02年度に日本が負担した米軍駐留経費負担額は44億1,134万ドル(5382億円、1ドル=当時の122円で計算)とされ、同盟国27ヵ国中でダントツの1位だ。続くドイツと比べ2.8倍、韓国と比べて5.2倍もの巨費を投じている。負担割合でみると、74.5%で、こちらも堂々のトップだ。
引用:アメリカが「駐留費全額負担」を求めてきたら、こう言ってやればいい(半田 滋) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)


上記の記事でも述べられていますが、もし米軍の駐留経費を全額日本が負担することになれば「米軍は日本の傭兵」という見方もできます。
それを米国民や米軍兵士が受け入れるでしょうか。

 


今回の動きは、軍事費の負担をしぶる欧州への牽制にもなるかもしれません。
Trick or Treat」ならぬ「Funding or Withdrawal」
資金を出さなきゃ撤退するぞ、的な。英語が合っているのかは分かりません(笑
参考:トランプ氏、欧州にNATO軍事費負担の拡大要求 (写真=AP) :日本経済新聞

 

 

さて、シリアからは米軍は撤退する方向ですが、サウジアラビアでは増派の方向です。
サウジアラビアは米国の同盟国で力を持っているから、でしょうか。
あとは、サウジアラビアの影響力が低下すると、地域の不安定化や、米国と対立する国の影響力が拡大するから、とか。
参考:米、サウジ増派を発表 シリア混乱も念頭に2千人 - 産経ニュース

 

これを見ると「米国は同盟国を見限る」と考えるのは時期尚早かもしれません。
必要であれば介入する。そうでなければ介入しない。選別して選択する。
米国は世界の警察であることをやめ、ある程度は各国で対処して欲しいようですから、なんでもかんでも介入するわけではないのでしょう。


この辺りは次の項目にて。

 

 

 

 


世界

・そもそも米国に頼り過ぎでは?
・IS打倒もシリア駐留も米国任せ
・それで米軍が撤退したら批判?自分たちは何をしたの?

 


シリアやクルド人勢力の問題など、世界の色々な問題に対して、世界の警察として介入してきた米国。
力を持つものは正しく力を使わなければならない、的な。
でも米国に頼り過ぎでは?それでいて資金援助などで協力もしてくれないし。
という不満が米国の方針転換を招いたのかもしれません。

 


結局、今、米国を批判している国々や人々はIS打倒やクルド人勢力などの問題にどう関与してきたのでしょうね。
自分たちは何もせずに、ただ批判だけ、口だけ出してるとしたら最悪ですね。
ただ、米国が勝手にいろんなことに介入したと見ることもできます。
勝手に介入して、勝手に混乱させて、勝手に泥沼化して。
そうなると米国の自業自得ですね。

 

世界のために米国は動いたのに、失敗したら批判される……というのも、かわいそうですね。国が動くというのは影響力が大きいので失敗は避けたいところですが、動くなら絶対成功させろ、なんて無理な話ですし。
難しいですね。

 

 

トランプ大統領

「今後はトルコ、欧州、シリア、イラン、イラク、ロシア、クルド人勢力が問題に対処すべきだ」
引用:米軍、シリア北部撤収開始 トランプ氏はトルコの軍事行動けん制 - ロイター

と述べています。

 

 

あとは、中東地域が揉めている方が都合が良いという意見も見ました。
ロシアのように軍事で介入することはできますが、それでも費用がかかります。米国相手に競争するのはどの国もきついのではないでしょうか。
といっても、米軍は撤退すれば競争をする必要はなくなり、介入が楽になるかもしれません。


となると、シリアではアサド政権が力を持つか、その後ろ盾であるロシアやイランの影響力が増すかもしれません。
それで何か困りますか?誰が困りますか?
といったことを考える必要があります。

 

……誰がどう困るかな。


紛争が起きて、治安が悪ければ中国の一帯一路のような投資なども防げる。防げるという言葉が適切かどうかは分かりませんし、それが狙いとまでは言いませんが、そういった影響もありそうです。

 

 

 

 


仮定の話

・トルコは強気です。アメリカとの電話会談で何かあった?
・それこそ「必要以上にシリアに、そしてクルド地域に攻め込まない」とかを約束した?

 


トランプ大統領の発言からも、それを示唆するものがあります。

トランプ米大統領は7日、トルコの軍事行動に行き過ぎがあった場合、トルコ経済を壊滅させると警告した。
引用:米軍、シリア北部撤収開始 トランプ氏はトルコの軍事行動けん制 - ロイター


安全地帯の設置までは容認する。しかし、それ以上の、例えば必要以上にクルド人勢力へ攻め込むなどの「軍事行動に行き過ぎがあった場合」はトルコを止めるということでしょう。


そして、それをトルコ側にも伝えているようです。

その後、ホワイトハウスでも、同様の見解をエルドアン大統領との電話会談で伝えたことを明らかにした。
引用:米軍、シリア北部撤収開始 トランプ氏はトルコの軍事行動けん制 - ロイター


なので、

トランプ氏は8日、ツイッターに「クルド人勢力を決して見捨てていない」と書き込み
引用:「シリア撤収」に非難噴出=トランプ氏一転「クルド見捨てず」-米:時事ドットコム

と言っているわけですね。

 

 

ちなみに以前からの行動を考えると、ロシアも同様の考えかもしれません。

西側のロシア軍は、シリア国境にトルコ軍が進行しないように爆撃を行なうだけで、戦闘に参加はしていない。
引用:日本人の知らない、イラク、シリアにおける IS 勢力の終焉とクルドの春、日本のテロ対策

*2017.09.25の記事

 


シリアのアサド政権を支援するロシアも、トルコが過度に侵攻するのは容認できないということでしょう。
今回の侵攻でも、行き過ぎた行為があれば、ロシアもトルコ軍を止めるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

以前にもトルコはシリアへ侵攻していた

・前回も今回も、目的はトルコ国内とシリア国内に存在するクルド人勢力の共闘阻止
・共闘する環境を作らせないために侵攻

 


調べてみたら2018年の1月にもトルコはシリアに侵攻していました。

トルコのビナリ・ユルドゥルム首相は、シリア国境内に深く入り込む形で30キロの「安全地帯」の形成を目指すと述べた。
引用:トルコ軍、シリア国境越えクルド人勢力を攻撃 - BBCニュース

*2018年1月の記事


今回の侵攻と同じ理由ですね。
そして、このときはトルコとシリアの国境付近にクルド人勢力の「シリア民主軍(SDF)」の部隊を配備しようとしたのが原因のようです。

米国に対するトルコの怒りが頂点に達したのは、ドナルド・トランプの大統領就任から1年が経とうとしていた今年1月半ばだった。きっかけとなったのは、イスラーム国の勢力回復を阻止するとの名目で、米国がシリア民主軍の戦闘員を主体とする「国境治安部隊」(border security force)の創設に向けて動き出したことだった。国境治安部隊は3万人の兵員を擁し、ロジャヴァの支配地域を囲い込むかたちで、トルコ、イラクとの国境地帯、そしてユーフラテス川流域に配備されるとされた。
引用:トルコがシリアへ侵攻し、クルドが切り捨てられる | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

*2018年1月の記事


国境付近で動きがあると、トルコが動く感じでしょうか。トルコ国内のクルド人勢力と、シリア国内のクルド人勢力が連携しないよう、またはトルコ国内へ入ってこないように。

 


あとはシリア北部にある資源が関係しているという話もあります。

もし、クルド自治政府がシリア北部のクルド民族地域のパイプラインを、利用することになれば、中東からの石油利権をすべて失うことになる。これに加え懸念されることは、トルコ内のクルド民族の独立運動が活発化するかもしれないとの懸念も抱えている。
引用:日本人の知らない、イラク、シリアにおける IS 勢力の終焉とクルドの春、日本のテロ対策

*2017.09.25の記事

 


米国はそれほど中東に依存しなくなってきているので、必要以上に関与したくないのかもしれません。

シェールオイル生産量の堅調な増加により、米国の輸入原油への依存度は減少しています。2013年10月には、1993年以降で初めて米国の原油生産量が原油の輸入量を上回りました。
引用:第1節 米国の「シェール革命」による変化 │ 資源エネルギー庁

 

米国におけるシェール・ガス革命,シェール・オイル革命が国際原油価格を引き下げ,米国のエネルギーの自立を実現するとともに,米国が中東の石油への依存度を低下させた
引用:中東情勢 第2幕を開ける中東産原油と米国のシェール・オイルとの消耗戦の行方 和光大学経済経営学部教授 大学院研究科委員長 岩間 剛一

 

ただ、2018年1月のこの侵攻がその後どうなったのか、ニュース記事が見当たらないんですよね。現状から考えると、トルコの侵攻はうまくいかなかったようですが……。

 

 

 

 

 

 

無茶苦茶やってるのは誰?

・トルコ?
・トランプ政権?
・過去に国境線引いた人?

 

 

で、「トルコ無茶苦茶やってんなぁ」とか「トランプ政権なにやってんだ」とか「クルド人勢力がかわいそう」と思った方もいらっしゃると思いますが、そもそもトルコと敵対していたクルド人勢力に米国が協力したのが間違いだったのかもしれません。


オバマ政権時代の決定だったのか、それ以前だったのかは分かりませんが、トランプ政権はその後始末をしているわけで、トルコに強く言えないのもそのせいかもしれません。


トルコ国内で武装闘争を続けるクルド労働者党PKK)はトルコだけでなく、欧州や米国でもテロ組織とされています。

トルコに加えて、欧州連合EU)や米国はPKKをテロ組織と認定。
引用:自由のため戦い続ける=トルコ・クルド人武装組織指導者 - BBCニュース

 

米国国務長官は,1997年10月,同組織を外国 テロ組織(FTO)に指定した。
引用:クルド労働者党(PKK) | 国際テロリズム要覧(Web版) | 公安調査庁

 


そしてそのPKKクルド人民防衛隊(YPG)は関係があり、YPGがトルコへ攻撃を仕掛けたこともあります。

トルコ国内のクルド人武装勢力クルド労働者党PKK)を「テロ組織」と認定しており、そのPKKと同じ組織だとするシリアのクルド人武装勢力YPG
引用:トルコ軍がシリア北東部クルド人支配地域に侵攻 6つの問い(伊藤めぐみ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

PKK関連組織とされるYPG等のテロ組織
引用:外務省海外安全情報

●2018年1月22日,YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県クルクハンに着弾し,1名が死亡,2人が負傷。
●2018年1月22日,YPGがシリアから発射したロケット弾がシャンルウルファ県ジェイランプナルに着弾し,兵士1人が負傷。
引用:外務省海外安全情報

●2018年2月1日,YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県レイハンルに着弾し,少女が死亡。
●2018年3月19日,YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県レイハンルに着弾し,少女が死亡。
●2018年3月19日,シャンルウルファ県ジェイランプナルの国境監視所がYPGによりシリアから発射されたロケット弾による攻撃を受ける。これに対するトルコ側の反撃によりテロリスト23人が死亡。
引用:外務省海外安全情報

 

 

で、そのYPG(を主体とするシリア民主軍(SDF))を米国が支援……って本当に何で当時の米政権はそんな決断をしたのか……。

YPGは、トルコ南部と国境を接するシリアで活動している。YPGはシリア民主軍(SDF)の大部分を占めており、SDFはアメリカ軍の支援を受けてイスラム過激派組織IS掃討に貢献した。
引用:シリア北東部から撤退表明のトランプ氏、トルコをけん制 経済を「破壊する」と - BBCニュース

 

 

(これまでの「後述します」と書いてきた部分が以下)
トルコとはNATO加盟国で米国と協力関係にあったのに、トルコの敵対勢力に米国が資金や武器を援助して訓練するなんて、そりゃ怒りますし、米国から離れてロシア側に寄ったりもしますよ。
トルコは強気であると同時に怒ってもいるのでしょう。
なので、米国も強く言えない。ある程度は黙認せざるを得ない。

 


なんか、このあたりが全部トランプ政権のせいのようにされて、報じられ、論じられているのはなぜなのでしょう。
そもそもが過去の政権の決断が原因なのに、それを報じないなんて。
クルド人勢力の支援をやめたのが批判されているのでしょうか。
それでは、トルコと敵対するクルド人勢力への支援を継続しろということでしょうか?トルコと敵対することになってもいいのでしょうか?


さすがに、そんな選択はできなさそうです。トルコの影響力は大きそうですし。
IS打倒で共闘したので感情的には助けたいという思いも分かりますが、すでに米国も多くの支援を行いましたし、これ以上、同盟国の敵対組織を支援するわけにもいかないのでしょう。

どこかで止めなければなりません。それこそ同盟国の信用を失います。


ただ、米国が他国や組織を支援して、その後、米国が撤退して、力をつけた組織によって混乱が起きる、という流れって今までも見た気がするのですが、何だったでしょうか。気のせいかな。


そうそう、「元はといえば、クルド人の国を作らずに勝手に国境線を引いた者のせいだ」とかなんとかいう話まであるようで。
どこまで歴史をさかのぼればいいのやら……。

 


クルド人勢力はIS打倒という目的のために米国から一方的かつ多くの支援を受ける。しかも一部はテロ組織として指定されている。
それなら別に助けなくても見捨ててもいいじゃないか。
と考えることもできますが、テロ活動を始めた原因が昔の国境線の引き方や、自分の国を持たせてもらえなかったことが原因だとすると、そう突き放すこともできません。

クルド人勢力をテロ組織だと認識した上で、ISを打倒する駒として利用した……なんてこともあるのかもしれません。

 

 

中東地域に何の知識もない素人がゼロから調べてみましたが、とりあえずここまで。
あとは識者や知識のある方々の意見を待ちましょう。

 

 

 

 

2019.10.14

米国との関係において、日本とクルド人勢力との違いですが、そういえばきちんと同盟関係がありましたね。

日米同盟というものが。

 

 

 

トルコへの制裁の話も出てきました。

トランプ米政権、対トルコ経済制裁を用意 週内にも発動か - ロイター

 

米国とトルコで話し合いをしていなかったか、していても世論や選挙対策で制裁をせざるを得なかったのか。


話し合っていたとしても「米国は制裁まではする。軍は派遣しない。交戦しない」という取り決めをしていたとか。

以下のような報道もありますし。

国防当局者は、クルド人勢力へのトルコの攻撃に対抗するため米軍を投入することは選択肢ではないとしており、トランプ大統領はシリア北部からの米軍の計画的な撤収開始を国防総省に指示した。

引用:トランプ米政権、対トルコ経済制裁を用意 週内にも発動か - ロイター

 


安全地帯の設置が短期で終われば、制裁の影響も少なくて済む?

そもそもの制裁の効果や実効性は?

制裁のタイミングは?すぐに発動?さらにトルコが侵攻してから?どの時点で制裁を止めるのか?

安全地帯設置後にトルコが侵攻を止めても制裁が継続したら、また別の可能性ということに……。

 

一つの事象に複数の可能性があって、さらにそういう事象が複数あるなんて……どうすればいいんですか_(:3」∠)_

 

 

 

そうそう。シリアにはアサド政権軍とクルド人勢力以外に、反体制派が存在します。

それで、どうやら反体制派はトルコ寄り、またはトルコと何らかの関係があるようです。

トルコ軍と親トルコ派のシリア反政府組織は2018年、2カ月にわたって北部アフリンを攻撃し、制圧している。

引用:クルド人組織、シリア政府が支援で合意 トルコの進攻で - BBCニュース

 という報道があったり、

米、シリア駐留部隊1000人の撤収発表 トルコ側部隊は攻撃拡大 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News

こちらの記事の写真の説明にも「トルコが後ろ盾となっているシリア反体制派戦闘員」の写真が掲載されています。

 

 

そういったことも関連して、アサド政権も動き出しました。

シリア北部のクルド人当局とシリア軍は合意の一環として、トルコとの国境全域に派兵する。

声明によると、派遣されたシリア軍部隊は「今回の進攻に対抗し、トルコ軍と外国人部隊が侵入した地域を解放する」ためにSDFを支援するという。

さらに「アフリンのようなトルコ軍に占拠されたシリアの都市を解放する道につながる」とも述べている。

引用:クルド人組織、シリア政府が支援で合意 トルコの進攻で - BBCニュース

 アフリンは先ほどの反体制派が制圧していた地域ですね。

 

 

また、トルコが安全地帯への移動を考えている難民についてですが、クルド人の数は少ないそうです。

トルコはまた、シリア内戦などでトルコ領内に避難してきたシリア難民360万人のうち、最大200万人をこの安全地帯に移住させたいとしている。難民のほとんどはクルド人ではないという。

引用:クルド人組織、シリア政府が支援で合意 トルコの進攻で - BBCニュース

 

 

 

 

2019.10.15追記

ニッポン放送飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月15日放送)ゲスト:有本香氏の放送にて。

 

クルド人の中にも、PKKに対して良く思っていない人もいるという話。

PKKに対するクルド人の認識


有本)認定していますね。PKKに関しては、クルド人も全部を是認しているわけではないし、「非常に困る」という声もあります。

 

飯田)平和に共存しているはずだったのにと。

 

有本)3年前にトルコに行きましたが、イスタンブールの街の中心部でも、普通に生活されているクルドの方々は大勢いらっしゃいます。日本での情報からは、クルド人の人たちはおしなべて差別されている状況だと思いがちですが、そうでもない。もちろんトルコ人と違う部分は相当あるのだけれど、かなり成功している人もいます。シリア領内に住んでいるクルド人同士には親戚がいるわけですが、そこから逃げて来た人たちを、商売しているクルド人たちが、お店で働かせるというところもありました。

 

飯田)雇って。

 

有本)ですから、トルコのなかでしっかり根を張って生活している方たちは、自分はクルド人だけれど同時にトルコ国民だとも言っていて、PKKのような過激勢力に関しては、その当時も迷惑だという声もありました。

 

引用:トルコのシリア侵攻~トルコだけを責められない難しい背景 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93

 

 

トルコのエルドアン大統領は強権的なイメージだが、意外と国民の人気は高いという話。

有本)あれは、アメリカに対しては悪い。わざとでしょうけれどね。トルコのエルドアンさんも、なかなかずる賢いところがある人で、強権的なイメージで伝えられてはいますが、意外と国民の人気は高いですからね。日本にいると理解しがたいのですが。

 

飯田)公共投資をやったり、貧困層への手当という意味では人気があります。

 

有本)貧困層に対する手当を、かなり厚くやったということです。いま世界に出て来ているこの種のリーダーは、ある意味リーダーシップが強いとも言えるのですが、強権的であるかのように言われる人の特徴ですよね。エルドアンさんもそうだし、フィリピンのドゥテルテ大統領もそうです。貧困問題は国にとって本当に重要でしょう。

 

飯田)そうですね。世界的にも重要です。

 

引用:トルコのシリア侵攻~トルコだけを責められない難しい背景 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93

 

 

 

 

2019.10.16追記

 米国がトルコに制裁を課すと発表しました。

財務省は14日、シリア進攻を受け、トルコの2省庁と政府高官3人に対し、経済制裁を課すと発表。ペンス副大統領は、トルコが「即時停戦を受け入れない限り、そして受け入れるまで」トルコへの経済制裁は強化されるだろうと警告していた。

引用:シリア進攻のエルドアン大統領、停戦を拒否 米政府の要請に応じず - BBCニュース

どれほど効果のある制裁なのでしょうか。

 

 

また、クルド人勢力が管理していたIS戦闘員やその家族の収容所に関してですが

シリア北部のクルド当局は、アインイッサ(Ain Issa)にあるキャンプ付近でトルコが実施した爆撃を受けて、IS戦闘員らの親族785人が逃亡したと説明。これに対しトルコ側は、クルド部隊が故意に逃がしたと主張している。

引用:IS戦闘員の家族だった仏人女性ら、収容キャンプからISの元に連行か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 とのことです。ただ、人数に関しては

ISの元戦闘員ら1万人以上を支配地域の施設に収容しているSDFによると、約800人のIS関係者が施設から脱走した。一方、シリア人権監視団(英国)は脱走者は約100人だとしている。

引用:アサド政権軍が北部に展開 クルドと異例の協力、トルコに対抗(2/2ページ) - 産経ニュース

 という話もあります。

脱走したのはISの戦闘員ではなく、その家族など、ということでしょうか。

人数もそうですが、あまり確定的な情報がありませんね。

 

 

 

2019.10.17追記

ロシア軍の影響力や存在感が増してきました。

ロシア国防省は15日、トルコ国境近くの要衝マンビジュで「ロシア軍警察がアサド政権軍とトルコ軍の境界で警戒にあたっている」と発表した。警戒は「トルコの協力を得た」とし、トルコ政府と合意したものだと説明した。

引用:ロシア軍、シリア北部の要衝警戒 米軍撤退の空白埋める:朝日新聞デジタル

 

 

 

 

 

 

2019.10.18追記

「停戦」が合意されました。といっても5日間ですが。

米国のペンス副大統領は17日、訪問したトルコの首都アンカラエルドアン大統領との会談後に記者会見し、トルコが5日間にわたり隣国シリア北部への軍事攻撃を停止することで両国が合意したと述べた。この間にトルコが設置を計画している「安全地帯」から、同国が敵視している少数民族クルド人民兵組織を撤退させるとしている。

引用:米トルコ、シリア停戦合意 5日間でクルド勢力退避 - 産経ニュース

 

合意に伴い、トルコへの制裁も解除され、停戦の間に安全地帯の整備を進めるようです。

また、追加の制裁も無いとのことです。

トルコの軍事作戦の停止に伴い、米国は14日に発表した対トルコ制裁を取り消す。また、「安全地帯」はトルコ空軍が管理するとし、クルド人民兵組織の重火器の回収や前線拠点の無力化などを進めるとしている。

引用:米トルコ、シリア停戦合意 5日間でクルド勢力退避 - 産経ニュース

 

ペンス氏は、アメリカはトルコが軍事作戦を止めれば、既存の経済制裁を解除するだろうと述べた。一方で、合意の一貫として追加制裁は発動しないとしている。

引用:米・トルコ、シリア進攻の「5日間停止」で合意 停戦はクルド撤退後と - BBCニュース

 

また、トルコの主張を見てみると、やはり安全地帯の設置が目的のようです。

トルコのメブリュト・チャブシオール外相は記者団に対し、軍事作戦が完全に終わるのは、SDFが国境地域から撤退した時だけだと述べ、今回の停止はあくまでも一時的なものにすぎないと強調した。

「我々は軍事作戦を一時停止する。停戦はしない。この地域から(クルド人部隊が)完全に撤退すれば、我々は軍事作戦を止めるだろう」

引用:米・トルコ、シリア進攻の「5日間停止」で合意 停戦はクルド撤退後と - BBCニュース

 記事にあるように、トルコは今回のは「停戦」ではなく「一時停止」だとしています。

クルド人勢力が撤退するまでの「猶予」と言ってもいいかもしれません。

 

トルコが一時的に攻撃を止めた段階で制裁は解除されました。

今後、トルコが再び侵攻を始めた場合、制裁は発動されるのか。

制裁が発動した場合、トルコが安全地帯の設置を完了し、侵攻を止めれば制裁は再び解除されるのか。

といったところが気になりますね。

 

あと、あくまでこの合意は米国とトルコの間のもので、

YPGが撤退要請に完全に応じるかは不明

引用:米・トルコ、シリア進攻の「5日間停止」で合意 停戦はクルド撤退後と - BBCニュース

 とのことです。

 

ちなみに、記事では13の項目で合意したとありますが、内容はホワイトハウスが以下のページで公開しています。

The United States and Turkey Agree to Ceasefire in Northeast Syria | The White House

 

あと、トランプ大統領からエルドアン大統領への書簡で気になるところがあったので、ご紹介します。 

 

米国はクルド人勢力ともやり取りをしていて、トルコとの仲介もしていますね。

元ツイートでは書簡の翻訳もされています。

ただ、元ツイートでも指摘されていましたが、クルド人勢力から提案があったことなどを公開しても大丈夫なのでしょうか……。

 

 

 

 

2019.10.19追記

今回の合意は、トルコにとってはクルド人勢力との戦闘もなく、被害も最小限にして安全地帯を設置することができます。

 

また、クルド人勢力としても、安全地帯という限定的な後退はありますが、トルコ軍と衝突することなく、被害が拡大することもありません。トルコとの戦力差は歴然ですから、戦闘が行われれば大きな被害が発生した可能性もあります。

実際、侵攻当初はトルコ軍優勢でした。

トルコによるシリア北部への地上作戦で、トルコ軍は11日までに、北部テルアビヤドやラス・アルアイン周辺への攻撃を続け、複数の町を制圧した。

引用:トルコ軍、複数の町制圧 クルド民兵排除狙い シリア北部 - 毎日新聞

 

 

と、考えれば、双方にメリットがあるとも見れますので、クルド人勢力の譲歩が公になっても、メリットや現実を示すことで組織内部を説得することができそうです。

そう考えると、書簡公開の影響はそれほどないのかもしれませんし、このまま安全地帯の設置が完了し、事態が収束する可能性もありそうです。

 

懸案としてはクルド人勢力が安全地帯から撤退するかどうか。

トルコが停戦を続けるかどうか。

安全地帯設置後に混乱が起きないかどうか。

といったところでしょうか。

あとはロシアやシリアの動きも気になるところです。イランの動きは報じられていませんね。

 

 

 

2019.10.21追記

米軍の動きはこんな感じです。

シリア北部から撤退する米軍部隊約1千人全員をイラク西部に移す計画を明らかにした。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦を継続し、「イラクの防衛を支援するため」としている。

引用:シリア撤退の米軍、全員イラクへ IS掃討作戦を継続:朝日新聞デジタル

「米軍撤退には数日間ではなく、数週間かかる」との見通しを示した。シリア南部でISの残党と戦う200人規模の米軍部隊は、そのまま駐留することが明らかにされている。

引用:シリア撤退の米軍、全員イラクへ IS掃討作戦を継続:朝日新聞デジタル

 

 

 

 

2019.10.24追記

今のところ、安全地帯の設置は順調なようです。

トルコとロシアが合意しました。

トルコとロシアの合意によると、23日GMT0900(日本時間23日午後6時)にロシア軍警察とシリアの国境警備隊がシリア北部に入り、YPGの退去を始める。YPGの人員と武器などの移動に約6日間かかるとしている。

 

6日後からは、トルコ国境から10キロ圏内の地域をトルコとロシア軍が共同で警備し、トルコにとどまるシリア難民の安全な帰還についても両国が取り組むことで合意した。

引用:トルコとロシア、シリア北部のクルド人勢力退去で合意 - ロイター

 

ロシアとシリアがクルド人勢力の退去に協力。

安全地帯もトルコとロシアが共同警備。

トルコにいるシリア難民の帰還も共同で取り組む。

 

トルコにとっては満点の合意ではないでしょうか。

 

では、クルド人勢力はどうでしょう?

ペンス米副大統領は、YPGを主体とする「シリア民主軍(SDF)」の司令官から書簡で、合意した地帯から撤退したとの通知を受けたと明らかにした。報道官によると、ペンス氏はYPGの撤退などの合意内容が履行されたと見なしているという。

引用:トルコとロシア、シリア北部のクルド人勢力退去で合意 - ロイター

 

 まぁ、トルコとロシアとシリア政府を相手にはできませんよね。

ただ、

SDFの高官は、停戦で合意した地帯からSDFが撤退したことを司令官が確認したと述べた。

引用:トルコとロシア、シリア北部のクルド人勢力退去で合意 - ロイター

 とのことですが、トルコは不満があるようで、

エルドアン大統領はシリア北東部の国境沿いの地帯に何百人ものクルド人武装勢力が撤退せずに残っていると述べていた。

トルコ民放NTVによると、エルドアン氏はプーチン大統領との会談後も、米国が停戦合意の「約束を完全に果たしていない」と不満を述べていた。

引用:トルコとロシア、シリア北部のクルド人勢力退去で合意 - ロイター

 

さらに、

トルコとロシアの合意では、YPGに退去を迫る国境沿い地帯の範囲は、米国とトルコとの停戦合意の対象範囲の3倍以上となった。

引用:トルコとロシア、シリア北部のクルド人勢力退去で合意 - ロイター

 とのことで、クルド人勢力もこのまま納得するのかどうか。

さすがに正面切って攻撃したりはしないとは思いますが……。

 

 

 

 

2019.10.27追記

米国の動きです。

エスパー米国防長官は25日、過激派組織「イスラム国(IS)」が勢力を拡大し油田を掌握することがないよう、米国がシリアの油田地帯に戦車などを投入し、軍の存在を拡大させると述べた。

引用:米、シリア油田地帯に戦車投入へ IS封じ込めに駐留拡大=国防長官 - ロイター

 

あと、

トルコによるシリア攻撃の混乱に乗じて逃走したとみられるイスラム国の戦闘員のうち約100人の身柄を再拘束したとアカル国防相が述べたことを明らかにした。

 引用:米、シリア油田地帯に戦車投入へ IS封じ込めに駐留拡大=国防長官 - ロイター

とのことです。

戦闘員も脱走していたようです。

 

また、ISの指導者であるバグダディ氏を米軍が殺害したというニュースもあります。DNA鑑定をしていて、今夜に何か発表があるそうです。

CNNなど複数の米メディアは27日、過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディ容疑者を米軍が殺害したと報じた。トランプ米大統領は27日午前9時(日本時間同日午後10時)に「重要な声明」を発表すると米ホワイトハウスが明かした。トランプ氏は26日夜、ツイッターに「非常に大きな何かの出来事が今あった」と書き込んでいた。

引用:IS指導者殺害か トランプ米大統領が22時に声明 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 

 

 

 

2019.10.28追記

ISの指導者であるバグダディ氏が死亡したと米国が発表しました。

IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

がれきに血痕、地面は陥没=米軍、ヘリで急襲-対IS指導者殺害現場:時事ドットコム

IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

記事を元に、疑問に思ったことなどを記載していこうと思います。

 

 

場所について

バグダディ氏が死亡したのはシリア北西部のイドリブ県だそうです。

そして、そのイドリブ県はシリア反体制派と、アルカイダ系のテロ組織が支配している地域であり、ISの活動は活発では無かったそうです。

イドリブ県は、アサド政権に対抗するシリア反体制派最後の牙城。バグダディ容疑者の隠れ家は、トルコ国境に近いバリシャにあった。同県は国際テロ組織アルカイダ系のテロ組織が支配し、ISの活動は多く伝えられておらず、同容疑者がどのように行き着き、いつから身を寄せたかなど謎が多い。米CNNテレビは「生き延びる最後のあがきだったのではないか」という見方を伝えた

引用:がれきに血痕、地面は陥没=米軍、ヘリで急襲-対IS指導者殺害現場:時事ドットコム

 

シリア反体制派はトルコとつながりがあります。

識者の中にはトルコやシリア反体制派がバグダディ氏を匿っていたのではないかと指摘しています。

理由としてはトルコがISから石油を密輸したのではないかと疑われているからです。

トルコのエルドアン大統領は否定しています。

参照:トルコ大統領らが「イスラム国から石油密輸」、証拠存在とロシア主張 - ロイター

参照:エルドアン氏が、ISの石油をトルコが購入している証拠を出すよう求めないほうがいい、その理由 - Sputnik 日本

 

どうしてトルコがISを支援するようなことをするのかといえば、ISがトルコと対立する国などで暴れてくれればトルコに有利に働きます。

そう考えると、クルド人勢力と同じように、ISもいいように使われているのかもしれません……って、そうだとしたら米国の駒とトルコの駒がぶつかったということ?

うーん、それだと少し変ですね……。

 

米国のCNNの報じた「生き延びる最後のあがき」で勢力圏ではない地域や、トルコへ脱出する気だったのかとも思いましたが、国境とは離れているそうです。

また、ISと敵対する勢力(アルカイダ系のテロ組織のこと?)が支配していても、ISに味方する勢力もいたようです。

バグダディ容疑者が死亡したのは、シリア北部イドリブ県のトルコ国境に近いバリシャ村。潜伏先とみられていたシリアとイラクの国境地帯からは遠く離れている。イドリブ県は、ISに敵対するイスラム原理主義勢力が広い地域を支配しているが、IS戦闘員をかくまう対抗勢力もいるとみられていた。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

 

また、トランプ大統領

トランプ氏は容疑者が、IS再建のためにイドリブへ移動したのだと話した。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

 とも話しています。

 

 

 

協力者について

今回の攻撃ではISのスポークスマン(広報担当者)も死亡したそうです。

一連の軍事作戦によってバグダディ容疑者の側近で過激派組織IS=イスラミックステートのスポークスマンも死亡したと伝えました。

引用:IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

 

そして今回、バグダディ氏の居場所が分かったのは

バグダディ容疑者の居場所は、イラク西部の砂漠地帯で容疑者側近らが拘束された際、併せて見つかった文書で特定されたと報じた。

引用:がれきに血痕、地面は陥没=米軍、ヘリで急襲-対IS指導者殺害現場:時事ドットコム

 とのことですが、

クルド人勢力主体の部隊でアメリカと協力してISの掃討にあたってきた「シリア民主軍」のマズルム司令官も「バグダディ容疑者の側近で、ISのスポークスマンだったアブ・ハサン・ムハージルは一連の作戦の対象となった。『シリア民主軍』の情報機関とアメリカ軍による直接の協力のもとで行われた」とみずからのツイッターに書き込み、アメリカの作戦にクルド人勢力が協力したと強調しました。

引用:IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

 クルド人勢力も米国に情報を提供しています。

以前のトランプ大統領からエルドアン大統領への書簡にあった「譲歩」ではないとは思いますが(譲歩は安全地帯の設置に関することだと思われます)、クルド人勢力とパイプはあるということが分かりますね。

 

そして、協力者はクルド人勢力だけではありません。

トランプ大統領は今回の作戦でアメリカ軍の兵士に死者はいなかったとして、成功だと強調するとともにロシア、トルコ、シリア、イラクそれにクルド人勢力が協力したとして謝意を示しました。

引用:IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

 

トランプ氏は記者発表で、SDFやイラクをたたえると共に、強襲作戦を可能にするため空域を米軍に開放したロシアの協力を評価した。加えて、作戦に「一定の支援」を提供したトルコとシリアもたたえた。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

 

ロシアも協力したのは驚きでしたが、

トランプ氏は、ロシアには今回の米軍作戦の内容を事前に伝えていなかったと述べた。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

 とのことです。

内容を伝えずに万が一ロシア側に被害が出たら……と考えると恐ろしいですが、ロシアが米軍に空域を開放した時点で、ロシア側の関係者は現場にいなかったのでしょう。

よって、詳細な作戦内容を伝える必要もなかったと。あと、空爆などではないので誤爆の心配もないですね。

 

 

現場について

建物の正面には爆弾が仕掛けられていたため、部隊は建物の横に穴を開けて侵入し、その際、応戦してきた戦闘員を殺害したほか、バグダディ容疑者の家族の一部を拘束しました。

引用:IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

 とのことだったのですが、写真や映像を見ると、がれきしかありません。

あれ?建物は?と思いましたが、

潜伏していた建物は、IS支持者らの「聖地」となることを防ぐため爆撃で破壊されたとの情報もある。

引用:がれきに血痕、地面は陥没=米軍、ヘリで急襲-対IS指導者殺害現場:時事ドットコム

 だそうです。

バグダディ氏の遺体についても

ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、バグダディ容疑者の遺体は過激派勢力アルカイダの指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者の遺体と同じように、海に埋葬すべきだと述べた。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

 という案があるそうです。

 

 

 

犬について

バグダディ氏の最期についてですが、米軍の部隊が建物内に侵入した後、

バグダディ容疑者はその後周辺のトンネルに逃げ込み、軍用犬に追い詰められると身につけていた爆発物を爆発させたということです。

自爆する直前のバグダディ容疑者の様子についてトランプ大統領は「臆病者のように泣き叫んでいた」

引用:IS指導者 バグダディ容疑者が死亡 トランプ大統領が発表 | NHKニュース

 と述べられています。

私が気になったのが軍用犬です。

軍用犬がバグダディ氏を追い詰め、バグダディ氏は自爆チョッキを爆発させたそうです。

…………犬は?犬はどうなったの?

軍用犬がバグダディ氏を追い詰めたということは軍用犬はバグダディ氏の近くにいたということになります。そんな至近距離で自爆チョッキを爆発を受けたら……

 

米軍関係者の犠牲はなかったが、軍用犬が1匹、重傷を負ったという。

引用:IS指導者がシリアで死亡とトランプ氏 「米軍の強襲で」 - BBCニュース

生きてました―!

いやぁ良かったです。安心しました。

 

 

 

2019.10.29追記

軍用犬の写真が公開されました。

ちなみに

大統領によると、この爆発でトンネルは崩落した。大統領は27日の説明の中で、バグダディ容疑者を追い詰めた軍用犬は1頭だけではなく、複数頭だったことを示唆していた。

引用:CNN.co.jp : ISIS最高指導者を追い詰めた軍用犬、トランプ大統領が写真公開

 とのことで、複数の軍用犬がいたようです。

……全員無事ですよね?

あと、トンネルが崩壊したって……無事ですよね?

 

 

さて、ここで「トルコがISを支援していた」と仮定した場合の話をします。

石油の密輸などが事実だとしたら、可能性は高そうです。

 

シリアにはアサド政権、反体制派、クルド人勢力がいます。

シリアにおけるIS掃討のために、どの勢力と手を組むべきでしょうか。

 

・アサド政権……ロシアが後ろ盾。米国はシリアをテロ支援国家に指定している。

参考:米のテロ支援国家指定とは :日本経済新聞

・反体制派……トルコがISを支援しているなら、トルコと協力関係にある反体制派には頼れない。

 

となると、クルド人勢力と手を組むしかないわけです。

 

以前に「どうして米国はトルコと敵対しているクルド人勢力と手を組んだのか」という趣旨のことを書きましたが、そもそも「敵国を荒らすためにISに手を貸す」なんてことをトルコがしたせいで、米国はクルド人勢力と手を組むしかなくなったのかもしれません。(トルコがISを支援していたという仮定が事実であれば、です)

 

ここで「本当に米国はクルド人勢力としか手を組めなかったのか」という疑問があります。

今回のトルコ侵攻でも、敵対していたアサド政権とクルド人勢力が協力しようとしたり、バグダディ氏を殺害する作戦でもロシアが米国に協力したりと、対立していても協力できる場合はあります。

 

当時の状況も現場のことも分かりませんので、当時は仕方がなかったのかな、と考えることしかできませんが。

 

 

あと、「ISの掃討に米国は関与すべきだったのか」も考えなければなりません。

当時の米国には「世界の警察」の自負があったのかもしれません。

しかし、ISの掃討はシリアをはじめとする中東諸国に任せても良かったのではないか、という疑問も生まれます。

 

ただ、シリアを例に取ると、IS掃討を口実に、ロシアの支援を受けたアサド政権軍が反体制派などを攻撃する可能性もあったのかもしれません。

それに、放っておくとISが勢力を拡大して、世界中に脅威が広がった可能性もあります。

中東諸国自体が力不足であったり、何らかの思惑によってISを支援する国が出てくるかもしれません。そうなると中東はさらに混乱するでしょう。

 

 

難しいですね。

そうそう、IS掃討のためにどこと組むかという話ですが、「どことも組まない」という選択肢もありますね。

ただ、その場合は米軍に犠牲者が出ることを覚悟しなければなりません。

それを米国民が受け入れるでしょうか。

IS掃討が必要だとしても、米軍単独ではなく、欧州や中東諸国も協力するべきだという意見が出るでしょう。

 

……ん?それで良いのでは?

反体制派やクルド人勢力などと組むのが難しいなら、各国を集めた連合軍としてIS掃討に取り組めば良かったのではないでしょうか。

大義名分もありますし。

 

んー、やっぱり「どうして米国はクルド人勢力と組んだのか」が分からないですね。

当時の関係者に聞けば一発で分かるかもしれませんが……。

「連合軍は欧州が非協力的だった」とか「連合軍だとシリアの反発が大きい」とか。

 

ホワイトハウス辺りに機械翻訳した英文で質問したら答えてくれませんかね(笑

捨て駒として利用するため」なら正直に答えてはくれないと思いますけど。

それならトルコも納得すると考えた。しかしトルコはクルド人勢力に武器が渡り、訓練されたことに怒った、とか。米国は人命を大切にする印象がありますから。

 

 

 

2019.10.31追記

米軍のバグダディ氏急襲の映像が公開されました。

また、建物に関しては聖地化を防ぐために空爆して破壊したそうです。

米軍は現場から文書や電子機器などを回収した後、バグダディ容疑者の住居が過激派の聖地となることを防ぐため、空爆して破壊した。回収した文書や電子機器は、今後のISIS掃討作戦に向けた情報収集のために活用する。

引用:CNN.co.jp : 米国防総省、ISIS指導者急襲作戦の映像を公開

 

 

 

 

 

2019.11.12追記

トルコがISの外国人戦闘員の送還を始めました。

トルコ、米・独出身のIS戦闘員を送還開始 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 

で、欧州諸国ではIS戦闘員から国籍を剥奪しているので、送還や入国を拒否しているそうです。

「国籍剥奪したから知らん」とか結構無責任ですね。トルコをはじめとする外国に押し付けたいのでしょうが、そんなことが受け入れられるわけもなく今回の送還となり、

隣国ギリシャとの国境の間で行き場をなくした、IS戦闘員とされる男の姿を報じた。トルコ側から出国した後、ギリシャが入国を拒否。トルコも再入国を拒否したという。

フランスのパルリ国防相は11日、トルコが仏国籍の元戦闘員を送り返すとしたことに対して「乱暴な送還は避けなければならない」と述べた。2国間にはIS戦闘員の引き渡しについて取り決めがあるが、今回は仏当局の姿勢がはっきりしないままトルコが送還を表明したとみられ、フランス側は反発している。

引用:トルコ、米・独出身のIS戦闘員を送還開始 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 といった事態も起きています。

 

送還されて裁判にかけられても、戦闘員としての活動は国外なので証拠を集めるのが難しいそうです。

 

欧州側の主張としては「他国での犯罪は現地の法で裁かれるべき」というのがあります。また、海外で訓練していたところを拘束された戦闘員の場合、訓練していただけでは特に罪に問えないのではとのことです。

 

 

 

2019.11.17追記

読売新聞によると、サウジアラビアは対立するイランとの仲介役にパキスタンなどを頼り、ロシアからの兵器購入も検討し始めたそうです。

また、アラブ首長国連邦はイランとの衝突を恐れ、イエメン内戦から手を引き始めたそうです。

他にも、イスラエルのネタニヤフ首相が国交のないサウジ側と極秘会談したと、中東メディアの報じたとしています。

これらを読売新聞は、中東の安定につながる可能性があると報じました。

 

トランプ政権は、地域の問題は地域で解決させる、米軍は世界の警察をやめて各地域の米軍派遣を縮小させる、という狙いがあるようですが、狙い通りとなっていますね。