中尾勇太のブログ

ようこそ!

幽霊と説教

 

真っ暗な部屋の中に男がいる。

男はベッドで横になって休んでいたが、急に部屋の明かりがついた。

部屋の入口を見てみると、そこには髪の長い女が立っていた。

男は驚いて飛び起きたが、その顔にはみるみるうちに怒りが広がっていった。

 「あのさぁ……なんで俺んところに来るんだよ!こっちは仕事で疲れてんだよ。朝から晩まで働いて、帰ってきてからも飯やらなんやらやって、平日は娯楽の類も我慢して、そんで今から寝ようってときになんで来るんだよ。こっちは毎日寝不足なんだよ。もう少しタイミングを考えろよ。別に他の時間ならいいってわけじゃないけどさ、寝るときに来るなよ。嫌がらせか?寝させないためか?睡眠不足で殺す気か?」

 

「つーか、俺みたいな人間のところじゃなくて、悪人のところに行けよ。悪いやつらなんて世の中にいっぱいいるじゃねぇか。そいつら止めてこいよ。犯罪を止めてこいよ。なんで今まで何億、何十億と人が死んでんのに犯罪が無くならねぇんだよ。自殺が無くならねぇんだよ。てめえらの中に正義感のあるやつはいねぇのか。いや、常識があるやつはいねぇのかよ。ほんと使えねぇな。」

 

「人の生活のぞき見ている暇があったら不幸を止めてこいよ。この恥知らずが。他にやることあるだろうが。そんなことも分からないのか、この無能が。幽霊ってのは足だけじゃなくて脳みそまで無くなっちまうのか?ほんとに救いようのない――」

 

「 破ぁ!! 」

 

寺生まれのTさんが叫ぶと、男の幽霊は蒸発するように消えてしまった。

女がTさんにお礼を言うと、Tさんはうなずいてから先ほど男がいた辺りを指差す。

「どうやらこの部屋の前の住人のようです。過労で亡くなったようですが、自分が死んだことに気付かずにさまよっていたのでしょう。」

そう言ってTさんは部屋をあとにした。

 

 

 

結論:寺生まれってスゴイ